都内内陸部に出現した「最悪のシロアリ」
日本でシロアリといえば、ヤマトシロアリかイエシロアリというのがこれまでの通り相場だった。しかし近年、アメリカカンザイシロアリという外来種のシロアリによる深刻な被害が広がっている。国内で最初に見つかったのは1970年代だが、食害やコロニーの拡大するスピードが比較的遅いため、輸入建材や輸入家具が持ち込まれる港湾周辺の地域に被害は限られると長らく思われてきた。ところが最近は、内陸部でもこのシロアリによる被害報告が相次ぐようになった。
和名に含まれる「カンザイ」は「乾材」の意。乾燥材であれば好き嫌いなく食べ、木の中だけで育つ。木部の水分だけで十分生息でき、成虫は食い進んだ穴に絶えずフンをする。木の中に産み落とされた卵から生まれた幼虫は木部を食いちらかして表面に穴を開け、成虫になると巣立って他の木へ直接飛び移る。日本しろあり対策協会(白対協)が2007年にまとめた報告書によると、被害は宮城県から沖縄県までの20都府県に及んでいる。
駆除方法も困難を極める。移動する際に地面を経由しないため、土壌や土台を薬剤処理しても侵入を防げない。成虫が木材表面に開けた穴は見つけづらく、薬液の注入自体が難しい。食害痕を見逃す例も多く、薬剤処理しても被害が再発する危険性はきわめて高い。